二重国籍とペルーの政治家について

fujimori-alberto

最近、蓮舫議員が二重国籍を隠していたことが発覚し、その後に嘘で言い訳をしていたことが問題となり、ネット上で大いに話題になっているようですね。
二重国籍の政治家というと、ペルーのフジモリ元大統領をイメージする方も多いでしょう。
実際、BLOGOSで以下の記事を見つけたのでちょっと引用させていただきますが、記事のニュアンスがペルーでの実際とちょっと異なっているので、この投稿で説明したいと思いました。

 

法務省ですら事実上容認している二重国籍の禁止規定が、どれだけガラパゴスルールなのか考えてみる

しかし海外では重国籍の政治家も特に珍しくありません。

第一にあげられるのは元ペルー大統領のフジモリ氏ですね。大統領になり、日本との二重国籍が明らかになったあとも、日本政府が国籍離脱を勧奨したという話は聞いたことはありません。そればかりか、フジモリ氏が汚職がバレて日本に亡命したときは、二重国籍であることで日本人であるとして、ペルー政府からの引き渡し要求を拒否したりしてます。さらには、当時の国民新党(後に自民党に合流)から国政選挙に立候補までしています。ただし、このことはペルーから批判されましたが、日本では特に大きな批判は巻き起こりませんでした。まあ泡沫に近い扱いだったということもあるのでしょうが。

このBLOGOSの記事では重国籍の政治家が珍しくないとして、筆頭にペルーの元大統領アルベルト・フジモリを引き合いに出しています。
しかし、実のところフジモリ氏は日本国籍を所有していることを隠して、大統領選挙に出馬していました。
なぜらなペルーの法律は「多重国籍者は大統領に就任できない」としているからです。
ペルー国民はフジモリ氏が日本国籍を持った事実上の「日本人」であることを知らずに彼に投票し、大統領に選んだわけです。
ですから、多民族国家であるペルーにおいても、政治家の国籍は注目されるものであると言えるでしょう。

その後、フジモリ氏の人権侵害や汚職など様々な疑惑が浮上し、日本に亡命した際に二重国籍であることが発覚します。
その際にはペルー国内で日本国籍を隠していたことに対し非難が上がり、大きな問題となりました。
ペルー政府は日本政府にフジモリ氏の身柄引き渡しを何度も要求しますが、日本政府は彼が「日本人」であることを根拠に身柄引き渡しをかたくなに拒否しています。

フジモリ氏はその後、再度ペルー大統領選に出馬すべく日本を離れ、まず南米の隣国であるチリに入国しますが、そこで逮捕されてしまいます。
そして、チリ政府からペルー政府へ身柄が引き渡され、現在はやっとペルーの刑務所に収容されています。
2000年の亡命から2007年の収容まで、約7年の月日が必要とされました。

 

このBLOGOSの記事の要点を再度まとめると、多くの国で多重国籍が認められており、多重国籍の政治家も珍しくないというものですで、フジモリ氏が引き合いに出されています。
この記事を読んだだけだと、ペルーでは多重国籍の政治家が普通に受け入れられていると感じることでしょう。
しかしペルーにおいては、フジモリ氏の例は多重国籍の政治家の危険性を物語るものと一般的に認識されています。

フジモリ氏が大統領に就任したのちペルーは日本との国交を深め、日本から多くの融資を得たり、日本のテレビ番組などの多くのコンテンツを購入したりしています。
それでフジモリ氏が大統領だった90年代に幼少期を過ごしたペルー人は日本のアニメやドラマなどを本当によく知っています。
私もある20代後半の人からNHK教育の「できるかな」の話をされた時は本当に驚きました。
この事実は「日本人」であったフジモリ氏が大統領になることで、ペルーと日本の関係は急速に深まり、ペルーと日本の間で色々な便宜が図られたということを意味します。
ですから、多重国籍の政治家がいると、その国との間に癒着が生じるということをペルー人は知っているわけですね。

フジモリ氏はその後さまざまな罪科が明らかになり日本に亡命しますが、その際にフジモリ氏の二重国籍が発覚します。
つまり、ある人が他の国の国籍を所持しているかどうかを調べることは非常に難しく、国籍を隠して選挙に出馬することができるということもペルー人は理解しています。

日本に亡命したのち、日本政府はペルー政府からの身柄引き渡し要求を再三に渡り拒否します。
もしフジモリ氏がチリに行かないで、ずっと日本にとどまっていれば逮捕されることもなく老後を過ごすことができたでしょう。つまり、多重国籍者の政治家が大罪を犯した後に亡命した場合、ペルー政府はペルーの法律でその多重国籍者を裁くことができないということも、ペルー人はよく分かっています。

つまり、多重国籍の政治家が自分の起源の国に多くの便宜を図り、その後にその国に逃亡するという、国民の益そっちのけの事態が起こりうるということを、多くのペルー人が認識しているわけで、「海外では重国籍の政治家も特に珍しくありません」と軽々しく言うのはちょっと違う気がしますね。
むしろ、ペルーでは(過去の経験により)多重国籍の政治家への不信感は強いものがあります。

 

ppk

ですから、今のペルーは政治家や大統領の国籍に大きな関心を払っています。
例えば、2016年の選挙で大統領に就任したペドロ・パブロ・クチンスキー氏(Pedro Pablo Kuczynski)は、多重国籍者でしたが、大統領選に出馬するに際しアメリカへ旅行し、所持していたアメリカ国籍を放棄しています。

ソース記事:PPK culminó trámite de renuncia a su doble nacionalidad

クチンスキー氏はこの行動で国民の信頼を勝ち得ることに成功し、対抗馬であったフジモリ氏の娘であるケイコ・フジモリ氏を退けて大統領に当選しました。

 

このような事実を見ると、BLOGOSの記事は都合の良い面だけ取り上げているような気がしたので、私の記事で捕捉させていただこうと思いました。
日本で「ネット右翼」と揶揄されるような人たちに限らず、多くの一般の人が蓮舫氏の二重国籍に関心を払うのもわからないことではないですね。
もしかしたらフジモリ氏がしたように、台湾もしくは中国に多大の便宜を図った後に、中国に亡命されてしまうのではと感じるわけです。

ただ、ペルー自体はたくさんの人種が入り乱れる国で、国籍や人種に非常に寛容です。
そうでなければフジモリ氏やクチンスキー氏のような、移民やその子孫が大統領に当選することはありませんよね。
そして多重国籍も認められており、大統領ではない議員になることも可能です。

 

蓮舫氏の二重国籍問題を見ると、日本も多国籍・多人種の国になったんだなと改めて感じます。
日本もいずれペルーのようにさらに多くの人種が入り乱れる国になり、それに伴う色々な問題を解決していかなければならなくなるのでしょうね。

 

Machuyo.com 管理人及びプログラマー。
「地球の歩き方」や「トラベルコちゃん」等にコラム執筆経験あり。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。